【実例】法人営業における成約率アップ【ラーニングス株式会社】

今回の記事では、B2B×無形商材事業である企業出版(※)を専門としているラーニングス株式会社(https://www.learnings.co.jp/)のセールスプロセス改善事例を紹介します。

もともとどのような課題があったのか、そしてそれをどのように改善し、『売れる仕組み』であるセールスプロセスに反映していったのかについて見ていきましょう。

(※)企業出版とは
「企業出版」とは企業がブランディングや営業力強化、業績アップなどを目的として出版する出版形式のことを指します。
本の売れ行きよりも、課題解決につながったかどうかが大切であるため、ベストセラーを目指す本とは出版目的が異なります。

【課題】どういうサービスなのかイメージしてもらえていない

ラーニングス株式会社はメインの事業として企業出版に取り組んでいます。
ただ、企業出版がどのようなものかについて理解してもらえていない状況で営業をすることが多く、理解してもらうまでに時間がかかり、商談回数が多くなりがちという課題を抱えていました。

あらかじめ企業出版がどういうものなのかを理解してくれている場合には、商談がスムーズに進むため、ラーニングス株式会社ではまずメルマガやHP、そしてコンテンツマーケティングサイトを製作して情報発信を実施するという施策を行うことにしました。

メルマガ

これまで商談を実施したことがある企業や、HPやコンテンツマーケティングサイトで資料ダウンロードしたことがある企業を対象にメルマガでの情報発信を続けました。
企業出版の考え方やどのように活用しているのかについて理解してもらうことができ、商談(再商談)につながるようになりました。

HPのブログ

会社のホームページで企業出版の考え方やどのように活用すればよいかについて、ブログで情報発信していきました。
商談前に会社のホームページを見ていてくれることは多く、その際には商談がスムーズに進むことが増えていきました。

コンテンツマーケティングサイト

マーケティング出版プラス(https://publish-marketing.com/)というコンテンツマーケティングのサイトを用意しました。
記事を量産することによってアクセスが増え、もともと興味がある企業様からの商談依頼が増えました。

メルマガやホームページ、コンテンツマーケティングサイトでの情報発信をすることによって、事業への理解度の向上と問い合わせ数増加の効果を生み出すことができました。
ただ、Push型の営業活動では、商談を5回以上重ねて成約を目指すケースが多く、まだまだ事業理解に時間と労力がかかる課題は解決には程遠い状況にありました。
そこで、Pull型の営業手法をさらに拡大し、Push型のセールスプロセス改善を目的として、ラーニングス株式会社は自社で企業出版に取り組むことにしました。

自社で取り組んだ企業出版

ラーニングスは2023年6月に『1冊の本で売上をアップする! BtoB事業者のための企業出版戦略とケーススタディー(https://www.amazon.co.jp/dp/4434322516/)』という本を出版しました。
この本では、企業出版がどのようなものなのか、通常の書店での出版とどのような違いがあるのか、またケーススタディーなどの情報を詰め込みました。

今まで興味がなかった人に対して『売上アップ』というキーワードを組み入れて、企業出版が売上アップにつながることを伝えて興味を引き出しつつ、「商談前にあらかじめこのような情報が伝わっていればな~」というコンテンツを1冊の本にまとめて出版したのです。

セールスプロセスに本を活かす

こちらの本はたくさんの人に買ってもらえるようなベストセラーを目指した本ではありません。
それよりも、企業出版の特徴や魅力をケーススタディーなどを通してわかりやすく伝えることを目的とした本です。
そこで、全国の書店に展開するだけでなく、セールスプロセスにおいて本を読んでもらうという工程を組み込む工夫をしました。
セールスプロセスのビフォーアフターは以下の通りです。

セールスプロセス(Before)

DMを送る→返信をいただく→商談→商談→商談→商談・・・→成約

セールスプロセス(After)

DMを送る→返信をいただく→本を郵送する→商談→商談・・・→成約

商談が決まった段階で先ほど紹介した本を郵送しておくことによって、興味を引き出すという工程がセールスプロセスに加わることになりました。
マーケティング用語でいえばナーチャリング施策を組み入れたことになります。

本を郵送するという工程を加えることで、見込み客が自社で企業出版に取り組む場合にはどのような出版企画の本をつくるのかについてのイメージを持ってくれていることが多くなりました。
商談の回数が少なくて済むようになり、営業社員も商談時には提案に時間を多く割けるようになるといったメリットも同時に生まれ、結果として成約率向上に大きく寄与しました。

それ以外にも効果があった本を活用したセールスプロセス改善施策

セールスプロセス株式会社ではセールスプロセスが効率的になり商談がスムーズに進むこと、そして営業社員の負担軽減を目指しておりますが、今回のセールスプロセスの改革の事例で得られた効果はそれだけではありません。
具体的には下記のようなメリットも合わせて得ることができました。

問い合わせ数と資料ダウンロード数増加

Push型のセールスプロセスの効率化が主な狙いでしたが、Pull型の施策としても効果を発揮しました。
①1年間の有効な問い合わせ件数:35件→70件(前年比200%)
②1年間のHP上からの資料ダウンロード数:20件→62件(前年比310%)

ブランディング向上

売上アップのための企業出版に強いという印象を持ってもらうことができ、ベンチャー企業をはじめとした成長を目指す見込み客の相見積もりの際に選んでもらえることが増えました。

営業社員のスキル向上

つくった本は営業社員も目を通します。
そのおかげで営業社員の説明スキルの向上を図ることにつながりました。
新入社員の即戦力化にもつながっています。

B2B×無形商材の事業は、企業の何かしらの経営課題を解決することを目的としてサービスを購入してもらうことになります。
でも、課題が解決ができるかどうかについて、あらかじめ理解したりイメージしてくれている見込み客は決して多くはありません。
商談だけで課題解決の可能性の理解を実現していくことは簡単ではないからこそ、B2B×無形商材の事業では商談前にできる限り情報を伝えておくことが大切になります。

今回は本によるナーチャリングをセールスプロセスに組み入れましたが、必ずしも本にこだわる必要はありません。
動画セミナーでも小冊子でもよいので、B2B×無形商材の場合は、商談前に情報を伝えることを意識したセールスプロセスをこころがけましょう。

 

 

投稿者プロフィール

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梶田洋平
セールスプロセス株式会社代表取締役
新卒でみずほインベスターズ証券株式会社(現みずほ証券)に入社。
個人・法人営業に従事し、社長賞を獲得。
退社後、企業専門の出版社を設立して代表取締役に就任。
本をはじめとした出版物でB2B×無形商材を扱う企業の売上アップを支援する、コンサルティング型出版サービスで組織を拡大。
その後、培ってきた営業ノウハウと効果的な営業ツール製作の実績を活かして、『売れる仕組み』の構築を支援するセールスプロセス株式会社を創業。
1985年3月27日生まれ。愛知県名古屋市出身。趣味は野球観戦。